衝撃のセカンドオピニオン

病院での診察

セカンドオピニオンを検討した理由

最初の肛門科診察から数週間、
人生初のセカンドオピニオンに行ってきた。

自分としては、最初のSクリニックの対応はとても丁寧で安心できたので、
そのまま手術でも良かったんだけど、周りの人に
「本当に手術が必要なのか、別の病院でも改めて見てもらうべきだ」
「手術をするならば評判の良いところをもっと調べてするべきだ。」
「最初のSクリニックはできたばっかりで評判が全く分からないから心配だ」
といった意見を聞いたことで、自分でも改めて少し調べてから
別の医師の見解も一応聞いてみようと思った次第だ。
ついでに言うと、Sクリニックのサイトにリンクされていた院長のFacebookで
院長が何故か菓子パン片手に「そろそろダイエット考えます」と
全くダイエットする気の無い写真をアップしているのを見て
少し不安になったというのも多少ある・・・多少ね。

ただ、見解(術式・費用等)が同じならば、Sクリニックで手術しようという事は決めていた。
理由は自宅から歩いて行ける距離だから。
やはり、日帰り手術で一番心配なのは、術後に何かが起きた時の対応について。
家から近ければ何かあってもすぐに病院に行けるという安心感があるからだ。

最初の病院とは全く違う診察スタイルのRクリニック

セカンドピニオンとして選んだのはRクリニック。
選んだ理由としては、病院のWebサイトがしっかりしていたことと、
年間日帰り手術数4,500件・内視鏡検査数15,500件と極めて多く、
クリニックとして国内No.1の実績があることをアピールしていたから。
Sクリニックが出来たばかりで評判が無に等しかったので、
それとは真逆の国内最高実績を謳うクリニックを選んでみたという事だ。

クリニック自体は横浜のとあるモール内にあって待合室は比較的綺麗だった。
クリニックについたのは午前9時前頃だったけど待合室には既に10数人の患者さんが待ってた
平日だというのにやはり結構繁盛しているらしい。
まずは受付。
クリニックに行く前に事前に電話で予約と問診票の印刷、
書き込みをしていたから受付自体はスムーズだったけど、
しばらくすると問診票の内容について待合室で看護師(医療事務員?)に結構大きめの声で
「排便時に痔核が出てきて指で押さないと戻らないということでよろしいでしょうか?」
「出血はありますか?」
等と聞かれたのが恥ずかしかった。
まあ、この時間に診察に来る人は胃腸・肛門科の人だけだとは思うけど
待合室でそんな聞くなら問診票の質問項目をもっと増やせばいいのに。
最初に行ったSクリニックでは通常の問診票とは別紙で
肛門に関する質問項目が細かくあったのでそっちの方が患者にとっても
診察するお医者さんにとっても良いと思った。

事務の人の問診の後、5分もしないうちに診察室に呼ばれる。
中には看護師さんがいて、
「ズボンと下着を下までおろしてベットに横になって下さい」
と指示され、下を脱ぐ事に。
この際、看護師さんはこちらに配慮して一応は目の前をタオルで覆ってくれてるけど、
下半身はほぼ丸見え。
そして、ベットに寝た際にお尻の位置を確認するように
「お尻が私の腰に付くくらいにこちらに突き出して下さいね」と何度も位置調整をされた。
どうやらこの位置調整までを完全にするのがこの看護師の仕事らしい。
体制は横向きだが、シムス位というよりは横向きに体育座りをしている様な感じに近かった。

ちなみに、Sクリニックでは下はお尻が見えるように後ろ側を下げるだけで良く、
下着も含めて全部下げるということはしなかった。
腰の位置にタオルを掛けられて待つこと数分、診察室のカーテンの向こうから
男性の「おはようございまーす」という声が聞こえたと思ったら10人近くいると思われる
看護師の「おはようございまーす」という返事が一斉に聞こえた。
看護師の返事の緊張具合から多分院長先生なんだろうなと思っていたら、
その後数分してからその男性が入ってきた。
やはり院長先生だったようだ。

出会って10秒で「手術適用ですね」の衝撃

「院長のOです。」
とあいさつをしてから問診票見ながら開口一番

O医師「排便時にお尻から痔核が出るのは手術適用ですね。」
(この時点ではまだ診察はしていない)
※「はあ」
というか、「はあ」としか言いようがなかった。

最初にSクリニックに行っていたから、
自身の状態が手術適用だという事を分かった上で来ているので、
ある程度は身構えているが、初対面の人に顔を合わせた瞬間
「手術ですね」
と言われると、逆に
「え?まだ見てもいないのに何が分かるの?」
と少し怪しんでしまいたくもなる。

O医師「それでは見ていきましょう」

・・・と言ったか言わずかのタイミングで肛門にグっと肛門鏡が押し込まれる。

肛門鏡の入れ方ははっきりいって、雑。

Sクリニックでは十分にキシロカインゼリーを塗布した肛門鏡をゆっくりと入れて
入れてる途中も「はい、息を吐いて力を抜いてねー」と都度丁寧に声かけをしてくれたけど
ここではゼリーが全体に塗れてないにも関わらず割と強引にグイっと押し込まれたので
ちょっとキツかった。
これ、切れ痔で来た人だったら辛いだろうな。。。

肛門鏡を入れた診察は1分掛かったかどうかってくらいで、すぐに終わった。
先生の所見は「これはだいぶ大きいなー」
その場で先生の話を聞くために先生の方を向いた時に驚いたのが
診察を見てるのは先生と、最初にいた看護師だけだと思っていたら
カーテンの向こう側から6,7人の看護師が見てた事。
朝一の診察だったからか、4月ということもあり新人の研修だったのかは分からないけど
明らかに若い看護師6,7人に診察時の様子を見られてたのが地味にショックだった。

診察後、看護師さんに
「ではこれからレントゲンを撮ります、そのあとで先生からの説明があります。」

レントゲンで「ん?」とは思ったけど、とりあえずいう通りにする事に。

撮影後、別の診察室に移動して先生の説明

「うん、だいぶ大きいから手術は2回に分ける必要があるね
1回目の手術で注射療法って知ってるかな?そう、ジオン注で痔核をある程度
小さくして、その3-4週間後に切除手術という流れになりますね」

「1回で切ると傷口が大きくなっちゃうからね。あと手術の前に
大腸内視鏡検査も受けてもらいます。もし大腸に異常が見つかったら
痔の手術どころじゃないからね。」

確かに問診票には排便時に「たまに」血が出るとは書いたけど
血といってもごく少量、年に数回トイレットペーパーに点がわずかに付くくらい
術前検査に大腸内視鏡検査までやるのは多少オーバーではないかというのが正直な感想。

ここでやっぱり気になるのは実際にかかる治療費の問題。
いくら国保で3割負担とは言え、手術2回に加え、
術前の大腸内視鏡検査まで入るのは完全に想定外。
そこで先生に

「治療費はどれくらいに・・・」と聞くと

間髪いれず

「それは後で説明がありますから。大丈夫、日本の医療は世界で一番安いからね」
という返事。

正直な話、ここで一気に信用度が下がった。

持論だけど、すぐに世界と比較する人を基本的に信用していない。

例えば、朝から何も食べずに一日中働いてお腹空いている状況で「お腹空いたー」と言ったら
「カンボジアの難民キャンプでは1日に何人の子供が食べられなくて死んでいる」
という話をされたり、
自身が何らかの事故で骨折など時間のかかる怪我を負った時に
「私の知り合いは交通事故で重傷でまだ集中治療室から出られない」
等の話をされたらどう思うだろうか?
はっきりいって興ざめもいいところだ。
「痛み」や「つらさ」、そしてお金等の出費に対する価値基準というものは
決して相対評価されるべきではなく、人ごとによって違うんだから
単純に比較された時点で、
この人は相手の気持ちを理解する能力が乏しい人なんだと思っている。

「あなたよりもっと辛い状況の人は沢山いるんだから」

「あなたよりも頑張ってる人は沢山いるんだから」

こういう苦労至上主義的な考え方が過労死等の日本の労働環境の悪化を招いていると思う。

看護師から聞いた驚愕の治療費

先生からの説明が終わった後、
一旦待合室に出たあと別室に呼ばれて今後の事について看護師の説明を受けた。
人を見た目で判断するのは良く無いけど、
この看護師はちょっと看護師とは思えないくらい化粧がしっかりしていたので
おそらく説明専門の看護師なんだろうと思う。
というか、ここの看護師は全体的に若い人が多い様に感じた。

説明内容は大腸内視鏡検査の予約日とその次のジオン注の手術の予約日の確認
そして、大腸内視鏡検査前の前日の食事や下剤の飲み方等。
気になる検査代・治療費について聞いてみると
大腸内視鏡検査が8,000円~3万円
これはポリープが見つかったらその場で取ってしまうので
それによって値段が変動するとのこと。
そして、ジオン注とそのあとの結紮切除がそれぞれ3万円~5万円
また、それぞれの術後に別途胃腸に優しい食事「低残食」を三食分出すので
その費用も必要とのこと。
もちろん、これには通院にかかる治療費は含まれていないから
全部合わせて12~14万くらいだろうか。
術前検査+ジオン注(ALTA)+結紮切除の日帰り手術で12~14万である。
ネット上で調べた限りでは、保険診療の中では群を抜いて高い。
保険診療の場合、診療報酬点数というのは日本全国一律で決まっているので
点数の多いものを組み合わせているのだと思われる。
そして、治療期間は短く見積もっても2か月はかかる見込み。
あと、やたら内視鏡検査後・手術後に「にんにく注射」を勧めてくるのも気になった。
しかも売り文句が

「小室哲哉の件で有名になったにんにく注射、当院にもあります!」

ちょっとどうかしてると思う。

検査・手術の予約と説明が終わったあとは血液検査の為に
採血をされ、会計を済ませて終わり。
診察代は初診で5,400円ほど。
後から気づいたけど、診療明細書をくれなかったので内訳は分からず。
民間保険を利用する場合は診断書(9千円くらい)を発行する
とwebサイトに記載されてたので、診療明細を出すシステムが無いのかもしれない。
職業柄というか、趣味の延長でパソコン等のOA機器の知識には自信を持っているのだが
その自分に言わせると、病院で使われている機器ははっきり言って相当古かった。
医療機器に関しても2018年にもなろうというのにCRT(ブラウン管)のモニターが
付いた機器があったり、レントゲンについても病院の開設当初から使っていると
思われるものだったりしたので、基本的には壊れるまで買い換えないスタンスなのかもしれない。

患者にとって負担の少ない診察・治療とは?

一通り診察や検査が終わって思ったのは、患者の為というよりは
いかに効率よく患者を捌くかを優先して動いているクリニックなんだなという事。
正直な話、どの段階で自分が手術に同意したのかも分からないまま
レントゲン撮られて大腸内視鏡検査とジオン注の予約入れられて
血液検査の為の採血をされた感じだから、
例えるなら家電量販店で携帯電話を契約したら
知らない間にフルでオプション付けられて契約させられてた様な気分。
これだけシステマチックに診察して、1人の患者に付き手術2回に加えて
内視鏡検査までやるんだから、手術・検査の年間実績が多いのも納得だ。

手術方針に関しても前に見てもらったSクリニックでは
ジオン注+結紮切除を併用して1回の手術で行って
治療費は3万~4万と言われてたので、
検査も含めて金額が3倍近く違うRクリニックの方針は自分い合わないと感じた。
正直な話、独り暮らしで手術後の身の回りの事について不安もある中、
あえて日帰り手術を考えているのはひとえに「お金が無い」からであり、
同じ12~14万円も払うならば、相部屋でもいいから
どこかの総合病院的なところで入院手術を選択する。
治療期間も長く、手術回数も多く、金額も高いのに日帰り手術を
Rクリニックでやる意味というのを残念ながら自分は見出せなかった。

あと、診察時やそれ以前から凄く気になっていたのは患者の羞恥心に対する配慮の無さ。
肛門科に来たんだから、肛門を見せる事は覚悟してきているんだけど、
別に、その場にいる看護師全員に見せてまわりたいわけではないし、
待合室で
「いやーウンチしたら手で押し戻さないと戻んなくんて困っちゃうよー」
と他の患者さんに病状報告したい訳でもない。
自覚症状が出始めたもっと初期段階で診せていれば薬だけで治るレベルだったかもしれないけど、
ここまで病院に行かなかったのは、疾患の場所が肛門だからだ。
肛門の状態と羞恥心、この2つの要素を天秤に掛けた時、
今までは羞恥心が勝っていたから病院には行ってなかったんだけど、
肛門の状態が勝った(悪くなった)からと言って、羞恥心が軽い訳では無い事を分かってほしい。
我々痔モティは、肛門の状態と同じくらいセンシティブなメンタルを持っているのだ。
年単位で病院に行くのを躊躇しているくらいだから、
そのセンシティブさがどれくらいのものか、Rクリニックにはご理解を頂きたい次第だ。

患者にとって「負担の少ない」診察・治療というのは、
別に「痛み」だけに関してではない。
「金銭的負担」「時間的負担」「精神的負担」
これらの事ももう少し考慮して欲しいと感じたセカンドピニオンだった。

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